この記事は、
◆材料力学が苦手。
◆応力ってなに?
◆引張り応力とせん断応力の違いがイマイチ分からない。
というあなた向けの内容となっております。
機械工学科の学生や、材料力学を学ぶ学生にとっては避けては通れない内容が「応力」です。ざいりきを勉強し始めて最初の山ですね。
この記事では、材料力学初心者の方やテスト前に復習がしたい方に向けて図解を用いて応力について直感的に理解できるよう解説していきます。
ちなみに今回解説する問題は、教科書「改訂新版 図解でわかるはじめての材料力学」の演習問題です。
YouTubeでも解説動画ありますのでぜひ。 youtu.be
- 材料力学の応力
- 応力の定義式とは
- 材料力学の内力って
- 材料力学の内力を求める3つのステップとは
- 材料力学の応力:引張り応力の場合
- 材料力学の応力:圧縮応力の場合
- 材料力学の応力:せん断応力の場合
- 材料力学の応力まとめ
材料力学の応力
材料力学を学ぶ上で避けては通れない「応力」という内容について解説していきます。
教科書的には「単位面積当たりの内力を応力という。」とありますが、これだとよくわかりません。
単位体積当たりという言葉はそこまで難しくないですが、「内力」って意味分からなくないですか?
しかも、ある時は引張り応力になりますし、ある時は圧縮応力になりますし、ある時はせん断応力になってよく分からないですよね。
そこで今回は、3パターンに分けて図解で説明しながら応力が分かるように勉強していきます。
応力の定義式とは
応力とは、物体中の「仮想断面」に働く「内力」を仮想断面の「断面積」で割ったものです。数式で書くと次のようになります。
また新しく「仮想断面」という言葉が出てきました。難しいですね。
次の章ではいよいよ、仮想断面を作って内力を求めていきます。
材料力学の内力って
内力とは物体を、内力を決める位置で「仮想的に(=頭の中で勝手に)」分割して、分割された物体が静止し続けるために必要な力こそが内力です。
分かりにくいですね。
今回も例のごとく、簡単に理解するために3つのステップに分けて説明していきます。
材料力学の内力を求める3つのステップとは
②好きなところで物体を切る
③切断面(仮想断面)にかかる力を考える
それでは実際に図で見ていきましょう。
引張り応力、圧縮応力、せん断応力の順に説明していきます。
材料力学の応力:引張り応力の場合
材料力学の引張り応力①:物体と力の絵を書く
まずはステップ①として、物体と力の矢印を図示していきましょう。
ある物体に対して両側に力が作用している場合を考えます。
こんな感じになりますね↓
左右に均等に力がかかっているので物体は飛んでいったりしません。静止し続けますね。
材料力学の引張り応力②:好きなところで物体を切る
それでは続いて、物体のどこでもいいので刀でスパッと切ってみましょう。
ステップ②での超重要事項を以下にまとめます。
◆刀で切られた物体の右側は無いものとする
◆刀で切られても物体の左側は飛んでいかない
こんな感じになりますね。
右側は無いものとして考えましょう。
材料力学の引張り応力③:切断面(仮想断面)にかかる力を考える
赤色の斜線で示した仮想断面に注目してください。
左端に作用する力が静止し続けるためには、仮想断面に右向きに力が作用するべきです。
この仮想断面に生じる力こそが内力です。
つまり、この棒に生じる応力は以下のようになりますね。
ポイントは、軸の正の方向と仮想断面に生じる力の方向が同じということです。この場合、応力の値はプラス、つまり引張り応力であるという風に判断できます。
引張りの場合の応力の求め方は理解できたでしょうか?仮想断面に生じる内力の求め方は分かったでしょうか?
もしかして、内力って外力と同じになるんじゃね?
と思った方はいませんか?
先ほどはたまたま外部から働く力と内力が一致しましたが、それらが異なる場合がありますので例を見てみましょう。
つまり、赤色の斜線で書いた仮想断面にはの内力が働いていることが分かりますね。
内力はではありませんよ。
それでは続いて、圧縮応力の場合を考えていきましょう。
材料力学の応力:圧縮応力の場合
引張り応力の場合で慣れたと思うので、3ステップをいっきに解説していこうと思います。
↑の図をご覧ください。先ほどと矢印の向きが反対になりましたね。
この棒の好きなところを切って仮想断面を作ると↓のようになりますね。
仮想断面を考える時の超重要事項をもう一度まとめます。
◆刀で切られた物体の右側は無いものとする
◆刀で切られても物体の左側は飛んでいかない
ですので、↑の図の「右側」はないものと考えてください。
しかし、「左側」が力で押されているにも関わらず飛んでいかないのはなぜでしょう?
それは、仮想断面に力が作用しているからです。
ここで注目すべきは、軸の正の方向と反対向きに力がかかっていることです。
つまり、この棒に生じる応力は以下のようになりますね。
仮想断面に生じる内力が軸の負の方向と一致するので、↑の応力の式にはマイナスが付きました。 ですので、今回は圧縮応力が働いたということが分かります。
引張り応力と圧縮応力の違いは分かってきたでしょうか?
続いて最も分かりにくいせん断応力の場合を解説していきます。
材料力学の応力:せん断応力の場合
↓のような板に力が作用している場合を考えます。
今回も、板の好きなところを切ってみましょう。
そうすると、↓のような「左側」と「右側」に分かれると思います。
仮想断面はどこになるかわかるでしょうか?
仮想断面は↓の図のようになります。
赤色の仮想断面には、上向きの力が作用していますね。
ポイントは、2つの矢印が直線上にない、つまり点線の上にないということです。
点線上にない場合は引張り応力でも圧縮応力でもありません。
これに気を付けてください。
2つの矢印が点線上にない場合は、せん断応力になります。
モノが千切れるような、モノがずれるような破断が起きます。
これがせん断応力です。
つまり、この板に生じる応力は以下のようになりますね。
せん断応力の場合だけは、応力を表す記号として (タウ)を用います。
せん断応力のイメージはできたでしょうか?
地震が起きて断層がずれたり、包丁で大根を切ったりするのもせん断ですね。
材料力学の応力まとめ
今回は、材料力学の超基本的な概念である3つの「応力」について解説しました。
引張り応力、圧縮応力、せん断応力の違いがはっきりと理解できたでしょうか?
不静定問題やはり、ねじりの問題も解説していますのでよかったらどうぞ!
また、解説してほしい材料力学の問題がありましたらFollow @OribiStudyのDMでご連絡ください。ありがとうございました。