今回の記事では、
・断面二次モーメントの公式が知りたい
・断面二次モーメントが全然分からない
・公式の意味が知りたい
といった方向けの内容です。
具体的にはまず前半で、典型的な図形の断面二次モーメントの公式をまとめます。
そして後半では、断面二次モーメントの意味・式の導き方・式の使い方について詳しく述べていきます。
断面二次モーメントは図形によって公式が変わりますし、円や長方形、そして中空の図形などいろいろ存在します。ですので初めて材料力学を習う場合は難しいと感じちゃいますよね…
しかし実は、公式の意味を理解ちゃうとどうってことない内容です。
そして一度解けるようになると、あまり問題パターンがないので定期試験で得点源にできます!
ちなみに今回解説する問題は、教科書「改訂新版 図解でわかるはじめての材料力学」のp.102の内容です。
YouTubeでも解説動画ありますのでぜひ。 youtu.be
断面二次モーメントの公式を7つの図形ごとにまとめました
まずは試験によく出てくる7つの図形の断面二次モーメントの公式をまとめます。
そして図形と公式をセットで並べたので直感的に理解しやすくしました。
ぜひ今日で断面二次モーメントを理解してしまいましょう!
断面二次モーメントの公式:長方形
↓は長方形の断面二次モーメントです。
断面二次モーメントの公式:正方形
次に正方形の断面二次モーメントを求めます。↑の長方形の式のをに置き換えればいいので、
ちなみに、↓の図のような、正方形が回転した配置となっていても断面二次モーメントは同じ値になります。
(※断面二次モーメントとは断面の形のみで決まる値なので。後で詳しく述べます。)
断面二次モーメントの公式:円
下の図のような円の断面二次モーメントを求めます。
断面二次モーメントの公式:中空円
次は、円形の発展バージョンで、中空円の断面二次モーメントを求めます。
これが意外と頻出ですよ!
断面二次モーメントの公式:三角形
次は、三角形の断面二次モーメントを求めます。
これもよく登場します!
三角形の断面二次モーメントに関しては導出が少々難しいので別の記事で解説します。
こちらをご覧ください。
>>【三角形の断面二次モーメントの求め方】平行軸の定理を使います - おりびのブログ
断面二次モーメントの公式:楕円
最後に楕円形の断面二次モーメントを求めます。
これで主要な図形の公式のまとめは終わりです。
次では、断面二次モーメントの意味について解説していきます。
↑の公式を単純に暗記するよりも式の意味や使い方、導出の仕方も知っておくとかなり身に付きますよ!
断面二次モーメントの公式の意味とは?いつ使うの?
断面二次モーメントの出番がくるのは、真直はりに関する問題です。
↓の2つ立体図を見てください。
同じ材質、同じ長さでできた横長角柱と縦長角柱が壁に取り付けられています。
(同じ角柱を縦向きと横向きの2通りで壁に取り付けました。)
そしてどちらも壁から同じ位置に同じ大きさの荷重が加えられています。
さてここで問題ですが、横長と縦長の角柱のどちらの方がぽきっと折れやすいでしょうか?
横長の方が丈夫そう!
って感じでしょうか?
あるいは、
どちらも丈夫さは同じ!
と思うでしょうか?
正直ぱっと見じゃ難しいですよね。
どのような形の棒だと曲げに強いかを考える時に断面二次モーメントは大活躍します。
曲げに強いかどうかを比較する超重要な式がこちらです。↓
: 曲げ応力、 : 曲げモーメント、 : 断面二次モーメント
実際に式で比較していきましょう。横長角柱の曲げ応力を、縦長角柱の曲げ応力をとします。
↑の二つの図を軸方向から覗いた図がこちらです。この図を見ながら断面二次モーメントとを求めてみましょう。
先ほど登場した長方形の場合の断面二次モーメントを求める式を使いましょう↓
となります。
は中立軸(今回だと)から端までの距離とすると、
と、
となります。
そして最後に、横長・縦長どちらの場合も曲げモーメントはどちらも等しく、
なので、横長角柱の曲げ応力は、、、
同様に考えて、縦長角柱の曲げ応力は、、、
つまり、横長角柱の曲げ応力と、縦長角柱の曲げ応力はどちらもマイナスが付いているので、圧縮応力を表しています。
これらの絶対値を比較すると、
よりも、
の方が絶対値が大きくなるため、縦置きと比べて角柱を横向きに置いた方が2倍大きな圧縮応力がかかり壊れやすいということが分かりました。
同じ形・大きさの角柱でも置く向きによって2倍も丈夫さが違うっていうのを計算で出せるの面白くないですか?w
断面二次モーメントの公式の導出を考えてみよう
これまでのステップでは断面二次モーメントの公式を覚えて、そしてその公式の意味を解説しました。
次のステップは、断面二次モーメントの公式を導く導出過程を勉強しましょう。
公式の導出過程を勉強することにより、三角形や台形T字など複雑な形状の図形の断面二次モーメントも求めることができるようになります。
複雑な形の図形の断面二次モーメントはテストでも出る可能性が高いのでしっかりと理解しておきましょう。
軸に関する断面二次モーメントを求める超重要な公式はこちらです↓
積分が出てきて難しそうですね。
↓の図を例にして、一度解いてみましょう。
※横軸が、縦軸がとなることに気を付けてください。
まずは前準備として、↓の図の微小面積を求めましょう。
縦の長さは、横の長さはなので、
となりますね。これを先ほどの式に代入しましょう。
となります。積分範囲は、 から に気を付けましょう。 ※横軸を0基準として、下端が、上端がの距離ですもんね。
積分計算を続けると、、、
さきほどのパートで計算したの横長角柱の断面二次モーメントの結果と同じになりましたね。
もう一度、断面二次モーメントの導出過程で大事なことをまとめます。
★ は必ず使う式!
★横軸は、縦軸は
★微小断面積をまず求める
今は長方形断面の断面二次モーメントを計算で出してみましたが、他の図形は自分で試しに計算してみてください。
複雑な図形の断面二次モーメントや平行軸の定理など、発展的な内容は別の記事でまとめます。
ぜひこちらからご覧ください。
>>【断面二次モーメントの求め方】複雑な図形の断面二次モーメントが解ける - おりびのブログ
断面二次モーメントの公式まとめ
今回の記事では、断面二次モーメントの公式のまとめや、式の意味、式の導出を行いました。
断面二次モーメントの公式は図形によって違うので覚えにくいので、ぜひ自分で導出できるようにしておきましょう。
材料力学のテストがヤバい方はこちらのまとめ記事がおすすめです↓
【材料力学の解き方一覧!】材料力学のおすすめ参考書の情報あり - おりびのブログ
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